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2026.05.10 Update

正解を探すより、あるものでつくるキャリア形成  ――エフェクチュエーションから考える不確実な時代の進み方――

キャリアを考えるとき、私たちはつい「正解」を探そうとします。

自分に合う仕事は何か。
どの会社に入ればよいのか。
どの資格を取れば将来安定するのか。
何を選べば、失敗したときのダメージを小さくできるのか。

もちろん、情報を集めることは大切です。業界を知ること、仕事を知ること、自分を理解することも必要です。

しかし、最初から一つの正解を見つけようとしすぎると、かえって動けなくなることがあります。

社会の変化が大きく、将来の見通しが立ちにくい時代には、すべてを予測してから動くことは難しくなっています。むしろ、今ある経験や関心、人とのつながりを材料にしながら、少しずつ試し、組み合わせ、キャリアをつくっていく視点が重要になります。

この考え方と関係するのが、エフェクチュエーションです。

エフェクチュエーションとは何か

エフェクチュエーションは、もともと起業家の意思決定や行動を説明する理論として知られています。

一般的な計画型の考え方では、まず明確な目標を設定し、その目標を達成するために必要な資源を集め、計画に沿って行動していきます。

一方、エフェクチュエーションでは、最初から未来を正確に予測するのではなく、今自分が持っている手段から始めます。

自分は何者か。
何を知っているか。
誰を知っているか。
今、使えるものは何か。

こうした手元の資源をもとに、小さく動きながら、出会いや予想外の出来事も取り込み、未来をつくっていく考え方です。

これは、起業だけでなく、キャリア形成にも応用して考えることができます。

キャリアは、最初から完成した設計図どおりには進まない

キャリアについて考えるとき、計画は重要です。

何を学ぶか。
どんな経験を積むか。
どんな仕事を目指すか。
どんな準備をするか。

こうしたことを考えることには意味があります。

しかし、現実のキャリアは、計画どおりに進むことばかりではありません。

希望していた会社に入れない。
思っていた部署に配属されない。
予想外の仕事を任される。
人との出会いによって関心が変わる。
社会の状況が変わる。
自分自身の価値観も変わる。

そのたびに「計画と違ったから失敗」と考えてしまうと、キャリア形成はとても苦しくなります。

大切なのは、計画どおりに進まなかったときに、そこで終わらせないことです。

今あるものを見直す。
使えるものを組み合わせる。
小さく試す。
仲間や出会いを資源にする。
予想外の出来事も、次の材料にしていく。

こうした姿勢が、不確実な時代のキャリア形成には求められます。

「あるものでつくる」という発想

エフェクチュエーションの視点では、最初から完璧な条件がそろっている必要はありません。

むしろ、「今あるもの」から始めることが重要です。

これまで経験してきたこと。
少し興味があること。
人から頼まれたこと。
得意かもしれないこと。
偶然出会った人や場所。

一つひとつは、すぐに大きな意味を持たないかもしれません。

しかし、別の経験と組み合わせることで、意味が見えてくることがあります。

たとえば、アルバイトの経験と授業で学んだことがつながる。
部活動での役割と、企業研究で知った仕事内容がつながる。
誰かを支えた経験と、教育や福祉の仕事がつながる。
ものづくりへの関心と、地域産業への理解がつながる。

キャリアは、最初から完成された答えを見つけるものというより、自分が持っている材料を組み合わせながら、少しずつ形にしていくものとも考えられます。

仮面ライダービルドを補助線として考える

この考え方をイメージするうえで、『仮面ライダービルド』は一つの補助線になります。

仮面ライダービルドは、フルボトルを組み合わせ、ベストマッチを探しながら戦うヒーローです。

最初から絶対的な正解を持っているというより、手元にあるものを組み合わせ、試し、その場に合う形をつくっていきます。

「勝利の法則は決まった」という決め台詞も、最初から勝利の結果が見えているというより、その戦いの中で状況を読み、手元にあるものを組み合わせながら、勝ち筋を見つけた言葉として読むことができます。

完全な正解がどこかにあるのではなく、その場で使えるものを組み立てながら、突破口をつくる。

これは、キャリア形成にも通じる視点です。

予定外の出会いも、未来の材料になる

エフェクチュエーションでは、協力者や出会いも重要な資源になります。

キャリアも、自分一人で設計図を描き、その通りに進めるだけではありません。

たまたま参加した授業。
偶然話した先生。
アルバイト先の先輩。
インターンシップで出会った社会人。
何となく誘われて参加したイベント。

その時点では大きな意味があるとは思っていなかった出会いが、後から大きな転機になることがあります。

『仮面ライダービルド』でいえば、万丈龍我は、主人公・桐生戦兎にとって、最初から計画された仲間ではありません。

むしろ、戦兎の実験や計画の外側から飛び込んできた、かなりイレギュラーな存在です。

しかし、その予定外の存在との関わりによって、戦兎の戦い方や目的は変わっていきます。

キャリアでも同じように、計画外の出会いや関わりが、自分の可能性を広げることがあります。

想定外を無理に美化しない

ただし、予定外の出来事をすべて前向きに捉えればよい、という話ではありません。

希望していなかった配属。
思っていた仕事と違う業務。
合わないと思った人との関わり。
失敗した経験。
予定外の変更。

その時点では、「これは遠回りだ」と感じることもあります。

つらい経験は、つらい経験として扱う必要があります。すべての失敗や困難を、無理に美化する必要はありません。

それでも、想定外の出来事をただの失敗や障害として終わらせず、後から意味づけ直すことはできます。

『仮面ライダービルド』に登場する猿渡一海/仮面ライダーグリスも、最初から戦兎たちの仲間だったわけではありません。

立場が違い、守りたいものも違い、背負っているものも違います。

しかし、関係の変化によって、違う立場や責任を持っていた相手が、同じ未来をつくる材料になっていきます。

キャリアでも、最初は意味が分からなかった経験や関係が、後から重要な材料になることがあります。

キャリアを「ビルド」する

キャリアには、最初から一つの正解があるわけではありません。

もちろん、考えることは大切です。調べることも必要です。準備することも意味があります。

しかし、それだけでは未来は動きません。

今ある経験。
今できること。
今いる場所。
今つながっている人。
今感じている違和感や関心。

そうしたものを材料にして、まず一歩動いてみる。

動いてみることで、次の材料が見えてくる。
出会いが生まれる。
思っていたものと違うと気づく。
別の組み合わせが見えてくる。

その繰り返しの中で、自分なりのキャリアは少しずつ形になっていきます。

正解を探すより、あるものでつくる。

不確実な時代のキャリア形成には、この視点が大切なのだと思います。



関連記事として、noteではこのテーマをもう少し読み物として整理しています。

『仮面ライダービルド』の戦兎、万丈、グリスの関係を手がかりにしながら、「正解を探すより、あるものでつくる」というキャリアの考え方について書いています。

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