キャリア・オーナーシップとは、自分のキャリアを会社や周囲に任せきりにせず、自分自身の課題として考え、選択していく姿勢を表す言葉です。
『爆上戦隊ブンブンジャー』で繰り返し語られる、
「自分のハンドルは、自分で握る」
という言葉は、この考え方を分かりやすく表しています。
ただし、作品が描いているのは、すべてを一人で決め、一人で背負う姿ではありません。それぞれが異なる事情や役割を持ちながら、自分なりの理由で進む道を選び、仲間や社会に支えられながら走っていく姿です。
自分で選ぶことは、目標を決めることだけではない
志布戸未来は、物語の冒頭、自分の意思とは異なる結婚をさせられそうになります。そこから逃げ出し、範道大也と出会い、「自分のハンドルは自分で握る」という考え方に触れます。
未来は、最初から明確な夢やキャリアプランを持っていたわけではありません。最初に行ったのは、「この行き先は、自分が選んだものではない」と気づき、そこから降りることでした。
キャリア・オーナーシップとは、将来の目標を明確に決めることだけではありません。望んでいない道を認識し、一度決められた道から降り、自分の意思で行き先を選び直すことも、自分の人生を自分のものとして取り戻す行動です。
物語の終盤で、未来は再び花嫁姿になります。しかし、今度は他人に決められた花嫁ではありません。自分の意思で花嫁になることを選び、その状況を作戦として利用します。
同じウェディングドレスでも、物語の最初と終盤では、ハンドルを握っている人が違います。
組織に属しながら、自分の役割を引き受ける
ブンブンジャーのメンバーは、全員が同じ立場や理由で参加しているわけではありません。
阿久瀬錠は警察官として、組織に所属しながら、人を守るという仕事の意味を自分なりに考えます。
鳴田射士郎は情報屋として、仲間を裏切ったように見える役割であっても、自分の専門性に基づいて必要な判断を引き受けます。
振騎玄蕃は、自分の過去や個人的な事情を抱えながら、どこで、誰と生きるのかを選び直します。
キャリア・オーナーシップは、組織を辞めたり、独立したりすることだけを意味するものではありません。
- 自分は何のためにこの仕事をしているのか
- この役割を、どのような形で果たしたいのか
- 自分の事情と、組織の目的をどう両立させるのか
組織に所属しながら、こうした問いを持つことも、自分のハンドルを握ることです。
リーダーである大也も、仲間に同じ価値観や目的を持つことを強制しません。それぞれが自分のハンドルを握ったまま、共通の目的に向かえる場をつくっています。
一方で、大也自身も、常に自分のハンドルを握れているわけではありません。ブンブンを救いたいという思いにとらわれ、自分を追い込んだ大也は、未来から指摘されることで、自分の進み方を見直します。
キャリア・オーナーシップは、一度身につければ完成するものではありません。迷ったときには、周囲から支えられながら、もう一度ハンドルを握り直すこともできます。
自分のハンドルを握ることは、自己責任ではない
「自分のハンドルは自分で握る」という言葉は、受け取り方によっては、自己責任論にも聞こえます。
自分で選んだのだから、失敗しても自分の責任である。困ったとしても、自分の力だけで解決しなければならない。人に助けを求めるべきではない。
しかし、ブンブンジャーが描いているのは、そのような孤立した自立ではありません。
終盤、ブンブンジャーは市民やISAから敵のように扱われます。それでも自分たちの判断で走り続けた結果、市民は少しずつブンブンジャーを信じ、応援する側へと変わります。
それまで対立していたISAも、最終的にはブンブンジャーを支え、仕事を依頼する関係へと変化します。
ブンブンジャーは、自分たちだけの力で世界を救ったわけではありません。仲間に支えられ、市民の声に支えられ、組織の力も借りながら走っています。
自分で選ぶことと、支援を受けることは矛盾しません。
- 情報を集めること
- 人に相談すること
- 必要な支援を受けること
- 仲間と協働すること
- 状況に応じて行き先を変えること
これらも、自分のキャリアに主体的に関わる行動です。
同じ組織で、同じ理由を持つ必要はない
ブンブンジャーのメンバーは、同じ価値観を持っているわけではありません。職業も、過去も、チームに加わった理由も異なります。
それでも、それぞれが自分の選択を引き受けることで、共通の目的に向かうことができます。
同じ組織にいるからといって、全員が同じ夢や理念を持つ必要はありません。同じ仕事をしているからといって、同じ理由で働く必要もありません。
重要なのは、自分がなぜそこにいるのかを、自分なりに考えることです。そして、他者にも、その人なりの働く理由や事情があることを認めることです。
自分のハンドルは、自分で握る。
しかし、一人だけで走る必要はない。
『爆上戦隊ブンブンジャー』は、キャリア・オーナーシップを、孤立した自己責任ではなく、自律と支援、個人と組織との関係として描いた作品として読むことができるのではないでしょうか。
noteでは、登場人物ごとに詳しく紹介しています
noteでは、未来、錠、玄蕃、射士郎、大也の特徴的な場面を取り上げながら、「自分のハンドルを握る」という言葉について、もう少し読み物に近い形でまとめています。



